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ロンドン塔に住む名物カラスの失踪で英国が崩壊危機?

ロンドン塔に住む名物カラスの失踪で英国が崩壊危機?

イギリスのロンドン塔に住むカラスがいなくなると王国は崩壊し大混乱に陥る──―。
と、17世紀から大切に守られてきたロンドン塔のカラスたち。
ところが、2020年に1羽のカラスが失踪したことで、
コロナ禍のロックダウン中にも関わらず大騒動となったのです。

国王の命令で保護されているカラスたち

テムズ川の南岸から見たロンドン塔

世界遺産ロンドン塔

テムズ川のほとりに建つロンドン塔。11世紀、イングランドを征服したウィリアム一世がロンドンを他国の攻撃から守るため、約20年の歳月をかけて建築された城塞です。
イギリス国王の居住する王宮として使用され、その後は時代を経るにつれて造幣所天文台動物園監獄死刑場など、様々な用途で使われてきました。
1988年にユネスコ世界遺産に登録され、現在では世界中から観光客が訪れるロンドンの一大観光名所となっていますが、その中に一定数のカラスが大切に保護されていることはご存知でしょうか。

ロンドン塔のレイヴン(ワタリガラス)と警備員

『カラスがいなくなるとイギリスは滅びる』

その起源は1666年のロンドン大火
街中で大繁殖したカラスがこの塔にも多く棲みつくようになりました。
その数の多さに、当時の英国王チャールズ2世がこのカラスの駆除を指示します。
しかし、宮廷の占い師が『カラスがいなくなるとロンドン塔は崩壊し、ロンドン塔を失ったイギリスは滅びる』と予言したそうです。
そのため、それ以後国王は『ロンドン塔のカラスの数を常に6羽以下にしてはならない』と命令、ロンドン塔の警護にあたる衛兵達が飼育や世話にあたり、今日にまで変わることなく保護されてきたのです。

チャールズ2世の肖像画

名前を付けて大切に飼育

ロンドン塔の敷地内にあるワタリガラス用の大きな檻

ロンドン塔で飼育されているカラスは「ワタリガラス」。現在は予備を含め8羽のカラスを管理しています。
また《メリーナ》《ポピー》《エリン》《ジュビリー》《ロッキー》《ハリス》《グリップ》《ジョージ》など一羽ずつ名前を付けたり
遠くに飛び去るのを防ぐために、数枚の風切羽をカットしたクリッピングを施すなど、大切に保護しています。
そして今年、このロンドン塔のカラスの1羽が失踪したとのニュースが話題となりました。

女王《メリーナ》の失踪が発覚

市民は驚きと悲しみに包まれる

2021年1月13日、ロンドン塔はSNSを介して、カラスの女王と呼ばれた《メリーナ(merlina)》が、クリスマス頃から失踪していることを報道発表、
飼育員達は「メリーナはロンドン塔の支配者であり、誰からも慕われる素晴らしい女王で、大変悲しい出来事だ」とコメントしています。

国の命運を握るロンドン塔のカラスたち。これまで2羽のカラスがキツネに襲われるという事例はありましたが、以後は警備や監視を強化してきただけに、今回のような失踪事件が発生するとは、誰もが予測できなかったようです。
予備のカラスのおかげで6羽以下になることは避けられましたが、メリーナの失踪のニュースを知ったロンドン市民の間では、驚きと悲しみの声が広がったそうです。

 

夏目漱石とロンドン塔のカラス

明治の文豪・夏目漱石も小説「倫敦塔」の中でロンドン塔のカラスについて触れており、そこには
「ロンドン塔のカラス神話は、何百年も続く英国の古式ゆかしい伝承であり、1羽でも減ると王家や英国の繁栄が陰ってしまうというユニークな都市伝説だ」
と書かれています。
この『倫敦塔』、現在著作権切れの為、青空文庫等で無料で読むことができます。興味のある方はぜひ読んでみてはいかがでしょう。

レイブンマスター(Raven Master)とは

観光ガイドをするロンドン塔の衛兵隊員

ロンドン塔の警備にあたる衛兵隊でカラスの世話をしている人たちのことを「レイブンマスター/RAVEN MASTER」と呼びます。
彼らは紺色に赤い線の入った服を着ており、ロンドン塔の夜警や見学者の安全確認、現在では観光ガイドの役目も果たしています。
このRAVENとは「ワタリガラス」の意味。レイブンマスターには22年以上の軍歴と善行章を受勲者した王国衛士しか就くことは出来ません。
いつかロンドンを訪れる機会があったら、あなたも是非ロンドン塔のカラスとレイブンマスターに会ってみてください。

「ワタリガラス」について詳しくは、こちらの記事
『日本のカラスの種類、7種全ての特徴をご紹介!』《ワタリガラス》

もぜひご覧ください。

参考資料:
フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)チャールズ2世

ロックダウン真っただ中の英国から届いた
「ロンドン塔のカラス失踪」のニュースには
驚きと同時に、英国民の心の奥深さや豊かさを学ぶ機会となりました。
また、カラスがいつの頃からか日本では悪者扱いとなり
一部では駆除される対象の鳥となっていることも
鳥害に携わるものとして考えさせられるニュースでした。

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