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鳩やカラスなど鳥害情報を発信【鳥害タイムズ】

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全国各地で起きている鳥の大量死の謎

全国各地で起きている鳥の大量死の謎

近年、世界だけでなく日本でも、
同じ場所で野鳥が一度に多数死亡する現象が続発しています。
なぜ、大量の鳥が死ぬのでしょう?
現在も起きている鳥の大量死の実態を知っていただくため
マスコミなどで取上げられたニュースをもとに事例の一部をまとめてみました。

 なぜ一度に大量の鳥が死んでしまうのか?

2019年2月、 北海沿岸となるオランダ・ハーグ市の浜辺に2万羽もの海鳥が打上げられるという事件が起こりました。
フランス通信社の報道によると、海鳥はウミスズメ科の鳥で、漂着した海鳥のすべては深刻な飢えで衰弱し、死んでいるか死にかけの状態で見つかったそうです。
オランダ・ワーヘニンゲン大学の海洋学者は、「要因については非常に難しくて答えは判明していないが、深刻な問題です」と述べています。
海鳥の大量死は1980年代と90年代にもありましたが、今回は数々の謎が多く、研究者らを悩ませているといいます。

野鳥が同じ場所で一度に多数死亡する現象は、日本でも毎年各地で発生しています。
その原因は、餌が採れずに衰弱したり、環境の変化に耐えられず死んでしまう、農薬などの化学物質によるもの、鳥インフルエンザウイルスなどの伝染病など、様々な要因が考えられると言われています。
近年マスコミなどで取上げられたニュースをもとに、国内での事例の一部をまとめてみました。

《スズメ3000羽》2019年10月/埼玉県内

台風15号の通過後に、関東圏を中心に、数多くのスズメの死骸が発見されました。埼玉県内だけでも約3000羽の死骸が見つかっており、これ以外にも各所で数百羽単位の死骸が発見されています。
死骸はほとんどがスズメでしたが、一部ムクドリも含まれ、多くが路上で死んでいたそうです。
県では鳥インフルエンザの検査もしたところ結果は陰性とのこと。

原因は巨大台風か?今後増える可能性も

9月はヒナが巣立ったばかりの時期で、適応力のない若鳥が多く犠牲になっていることから、タイミング的に、台風の暴風や風雨により死んだ可能性が高いと見られています。
熊谷地方気象台によると、9日は午前4時台に所沢市で最大瞬間風速28.4m、さいたま市で27.5mを観測。久喜市でも21.9mを記録していました。
地球温暖化の影響で今後も巨大台風が増えると見込まれるなか、毎年のように巣立ったばかりのヒナが死んでいけば、スズメの個体数はさらに減少していくのではないかと懸念されています。
まして、日本におけるスズメの個体数は1990年当時と比較すると最大90%も減収との調査結果もあります。

身近な鳥だったスズメが人知れず激減しており、そこへ巨大台風の要因がさらに拍車をかければ、遠くない将来スズメを見られなくなる日が来るかもしれません。

《スズメ110羽》2013年10月/海老名市

2013年9月30日頃、海老名市中野地区で大量に死んだスズメが見つかりました。
市農政課に市内の農家から「畑でスズメがたくさん死んでいる」との連絡があり、職員らが現地で確認すると、スズメ約110羽の死骸を確認。
900平方メートルの範囲内に散らばっていました。
死骸を回収し、鳥インフルエンザの検査をしたところ、結果は陰性でしたが、さらなる死因調査のため一部が県衛生研究所に検体として引き渡されました。

殺虫剤による中毒死か

すると研究所の検査でスズメの胃の内容物から、白菜など葉物野菜の農薬として用いられる毒性の強い殺虫剤メソミル」が検出。
市はこの殺虫剤により中毒死した可能性が高いと発表しました。
「誰が、何のために使ったのかはっきりしない」とする市は、農家へ適正適量な農薬使用などを呼び掛けるとしています。

《スズメ900羽》2006年4月/北海道

2006年の冬、北海道の道央・道北地域でスズメの大量死が相次ぎ、4月12日までに上川支庁だけで計760羽もの死骸が発見されました。
北海道新聞によると、2006年1月から4月11日まで旭川・札幌市を中心に105件のスズメの死骸に関する通報・相談が寄せられました。
見つかったスズメの死骸数は、4月11日までに旭川市内で493羽、札幌市内で190羽、富良野市、石狩市、苫前町でそれぞれ15羽など十一市町で762羽にもなり、
その後さらに通報は増え、13日までの電話による情報で発見総数は約900羽に達しました。

道庁、解明へ調査乗り出す

死因調査は旭川市と札幌市東区で見つかった23羽を対象に、1月に北大、四月に酪農学園大で行われましたが、いずれも栄養状態は普通で、内臓に病変は認められず、「現時点で死因は不明」でした。
凍死や微生物の感染などが死因である可能性もあるといいます。
北海道庁は全道の支庁自然環境係で情報を受け付け、原因解明の調査に乗り出しました。

サルモネラ菌の一種が特定

その後、10月に麻布大(神奈川県)の宇根有美・助教授(獣医学)らが北海道登別市で4月に発見された2羽の死骸を解剖したところ、ネズミチフス菌感染に特徴的な食道の一部の炎症などを発見。
採取した細菌を培養して検出し、サルモネラ菌の一種で人間にも食中毒を起こすネズミチフス菌と特定されました。
ネズミチフス菌は、ふんなどとともに鳥の体外に排出され、餌や水を介して広がるため、餌場に集まった道央圏のスズメの間で感染が拡大した可能性が高いと考えられています。

《ドバト44羽》2006年4月/東京港区・世田谷区

一方同じく2006年4月、東京都の2つの公園では54羽のハトの死骸が見つかりました。
4月8日に港区の港南公園で12羽、9日から11日にかけて世田谷区の蘆花恒春園で32羽ものハトの死骸が発見。
東京都環境局はトリインフルエンザの簡易検査は陰性だったとし、死骸の中には激しく損傷したものもあり、人の手によって殺された可能性もあると見られていました。

農薬入りの餌で毒殺目的か

後日、警視庁成城署が 死骸を解剖した結果、 農薬成分のメソミルが検出。何者かが鳩に農薬入りの餌をまいた可能性もあるとみて、同署は鳥獣保護法違反容疑で犯人を捜査中、と報じられました。

《カラス89羽》2006年4月/秋田・大潟村

ミヤマガラス

2006年の冬は、全国で鳥の大量死が相次いで起こり話題となりました。
秋田県大潟村でも3月28日、89羽のカラスの死骸が発見されました。
県の自然保護課によると、89羽のうち88羽はミヤマガラスで、渡り鳥として知られています。
中央家畜保健衛生所で高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病や有機リン系薬物の検査をしたところ、その結果はいずれも陰性。
しかし胃の粘液を経口投与したマウス3匹のうち2匹が、投与翌日に死亡したため、なんらかの毒物を摂取したと考えられました。

死骸から殺鼠剤が検出

その後、県中央家畜保健所などの解剖により「胃、腸、肝臓、腎臓等からタリウムが高濃度に検出された」と4月21日付で公表されます。
硫酸タリウムは一般的に殺鼠剤などに使用される化学物質で、無味無臭で摂取すると有機水銀に似た神経症状を起こす劇薬。
死亡したミヤマガラスも硫酸タリウムを経口摂取したことによる可能性が高いと判断されます。
実際、同時期に大潟村でも硫酸タリウム剤が使用されていました。
しかし、ミヤマガラスが渡り鳥である特性上、どこで、どのような状態で摂取したかの特定は非常に困難で、真相は不明のままです。

《海鳥5000羽》2006年2月/北海道・知床

世界遺産知床半島

世界自然遺産の北海道・知床半島の海岸で見つかった油まみれの海鳥の死骸。
発見当初は純白の氷雪原に20羽ほど程度だったのが、雪解けが急速に進むに連れて氷雪の下深く埋もれていた死骸が次々と表れます。
最終的には、数百羽もの死骸が累々と海岸を埋め尽くす異様な光景となりました。
さらにその後約4ヶ月間に、稚内~知床半島までのオホーツク海沿岸域で確認された油汚染海鳥の死骸は5000羽を超える事態に発展。
その海鳥を食べたとされる絶滅危惧種のオオワシにまで被害は広がり始めました。
ほとんどはウミスズメ科やカモメ科の海鳥で、死因は重油の付着による体温低下や溺死や窒息死と思われます。

原因は重油か?深まる謎

当時、ロシアのサハリンでは大規模な石油天然ガス開発が進んでおり、そんな中で起きた海鳥の大量死。
原油の流出、タンカーの座礁、不法投棄など、さまざまな憶測が飛び交いますが、死体に付着していたのは船舶燃料などに使われる重油だったため、船舶からの流出が濃厚になりました。
サハリンのNGO担当者は「オホーツク海のどこかの船から漏れ出たのでは」と応えていますが、海上保安庁が死体の漂着後に航空機でオホーツク海沖を調べても重油は見つからず、
海保担当者は「それにしても鳥だけが漂着し、海に油が見つからないのは不可解」と首をひねります。
また石油業界関係者は「重油は高騰しており、捨てるとは考えにくい」と不法投棄には否定的、汚染源はいまだ特定されていません。

1997年ナホトカ号事故により重油6000kℓが流出して1300羽の海鳥が被害にあったニュースが記憶に新しいですが、知床の事件がそれをはるかに上回る大量死が発生しながら、今もって原因究明に至っていないことがとても残念です。
オホーツク海に支えられ海から内陸まで豊かな生態系を維持している知床の海ですが、その海が生態系を脅かすものを媒介することも浮き彫りにした事件でした。

ご覧いただいたように、鳥は、自然災害や環境の変化、人災を含め
外的環境に非常に影響を受けやすい生物だということに
改めて気づかされました。
過去の事例から学ぶことで、
災害などは不可避だとして、少なくとも人的な要因での鳥の大量死は
この先起こらなくなることを祈るばかりです。

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