海に行くとよく見かける「カモメ」と「ウミネコ」。
一見、区別がつかないほど非常によく似た特徴をしていますが
生態や違った生活圏を持つ生き物として分類されています。
今回は「カモメ」と「ウミネコ」の生態と
見分け方についてご紹介します。
カモメは世界中に分布している鳥で、世界で確認されているだけでも54種、日本で見ることができるカモメは25種類も確認されています。
どの種類も姿がよく似ていて、また同じ種でも、若鳥から成鳥に成長する過程で刻々と羽色が変わるため、違う種類でさまざまな状態のカモメが混じっていたりすると、識別は専門家でも難しいのだそう。
カモメの種類の中で、日本で最も多く見られるのは、中型カモメの「ウミネコ」です。
ご存じ「カモメ」も同じ中型カモメの仲間ですが、代表的な名前の割に数は多くなく、実はほとんど見ることができないのをご存じでしたか?
それではカモメとウミネコのそれぞれの生態の違いから見ていきましょう。
カモメの生態
「カモメ」はチドリ目カモメ科カモメ属の中の1種です。
夏季はユーラシア大陸の北部やカナダ、アラスカなどに幅広く生息、冬季にはヨーロッパやアフリカ北部、ペルシャ湾岸、アメリカ、日本周辺や中国東部、朝鮮半島などで越冬します。
日本には、冬鳥として越冬のため日本全国に飛来し、春夏には繁殖のため再び日本を離れる渡り鳥です。
港や海岸、河口、干潟などの沿岸部に棲息し、小魚、カニ、昆虫類、ミミズ、動物の死骸などなんでも食べる雑食性です。海辺に打ち上げられた動物の死がいや昆虫、河口に流れ着くゴミなどを食べるので、「海のお掃除屋さん」も呼ばれることも。
体長は45cmほどで、翼の上面や背が灰色、腹と尾は白く、くちばしと足は黄色、翼の先には白い斑点があります。
体色は白い羽毛に背部と翼表面が灰褐色、尾羽は白色です。
くちばしは黄色一色か、個体によっては先端に黒い斑紋が入るものもいます。
鳴き声はカラスに似ており「クゥークゥー」と鳴くことが多く、漢字で「鴎」や「鷗」と書くのも、鳴き声「ウ」「オウ」からの当て字だという説があります。
ウミネコの生態
「ウミネコ」も、カモメと同じチドリ目カモメ科カモメ属の鳥類です。
ロシア南東部や中国大陸東部、台湾、朝鮮半島などに分布し、日本では北海道、本州、九州、伊豆諸島の沿岸に通年棲息する留鳥です。冬季は南下するものもいます。
日本各地の沿岸部や河口で一年中見る事ができますが、内陸でも生息します。
食性はカモメと同様、雑食性です。夏から秋にかけ、餌の魚を追って移動するため、漁師には「漁場を教えてくれる鳥」として大切にされてきました。
繁殖地が日本とその近海に限られるため、青森県、山形県、宮城県や島根県など集団繁殖地の多くは国の天然記念物に指定され保護されています。
ウミネコは、全長47cmほどとカモメよりほんの少し大きめです。
カモメと似た体色をしていますが、背部と翼表面の灰褐色がカモメより濃く、尾羽に黒い帯模様が入ります。
鳴き声が「ミャーミャー」とネコに似ていることが名前の由来で、漢字では「海猫」と書きます。
それぞれの生態が分かったところで、次にカモメとウミネコの見分け方について見ていきましょう。
カモメとウミネコの見分け方
見分け方①「くちばし」と「目」、「足」と「羽」がポイント
外見上の一番の特徴は、カモメのくちばしが黄色一色であるのに対し、ウミネコは黄色いくちばしの先端に黒帯と赤班があること。
また、カモメのくちばしはウミネコに比べると短く、ウミネコのくちばしは大型カモメ類に比べて細いため、かなり長く感じられます。
瞳にも違いがあります。ウミネコは黄色い目の周りに赤いアイリングがあるため、目つきが鋭く見えます。カモメの目の色は淡色~暗色までと個体差があります。
また足の色は両者とも黄色ですが、ウミネコは割と鮮やかな黄色に対して、カモメはくすんだ薄黄色から白っぽい黄色の個体が多いそうです。
また飛んでいる姿を下から見ると、カモメは翼の先に白い斑点があるだけですが、ウミネコの尾羽には黒い帯があることがわかります。これは飛行中のカモメとウミネコを識別する際の最大のポイントです。
しかし、ウミネコやカモメの仲間は時期によって換羽があったり、幼鳥が混じったりするので、識別が難しい場合もあります。
見分け方②渡り鳥か留鳥か
カモメとウミネコは生物学的にも見た目も似ていますが、両者の一番の違いは、カモメが寒くなると飛来してくる冬の渡り鳥であるのに対して、ウミネコが留鳥だと言うことです。
カモメ類の中で日本で繁殖するのは、北海道や東北の一部で繁殖するオオセグロカモメとウミネコだけなんだそうです。
そのためウミネコは1年を通して姿を見ることができ、渡り鳥が北に帰っている夏の間に見かけるカモメ類は、ほとんどがウミネコ、体が大きければオオセグロカモメということになります。
見分け方③鳴き声の違い
同じカモメ属の鳥であるため、鳴き声もかなり似ていますが、良く聞いてみると太さや高さに違いがあるようです。
ウミネコが低く太い声で「ミャーオ」「アーオ」と猫のように鳴くのに対して、
カモメは高音で甲高い声で「キュッキュッ、キュー」などと鳴くという違いがあります。
いかがでしたか?
今回は、ウミネコとカモメの違いは?とテーマに
カモメとウミネコの生態、外見の見分け方や鳴き声についてお届けしました。
海に行った際にもし見かけたら、観察してみてくださいね。
まずは年中見られるウミネコの特徴を覚えて、
秋になるとやってくるカモメとどこが違うのかを観察してみましょう。
慣れたらさらにカモメ類の識別に挑戦してみるのも
おもしろいかもしれません。